陰茎がんは、稀な疾患で人口10万人に0.4~0.5人の割合です。50~60歳代に多くみられます。
陰茎がんの原因として、包茎との関連性がみられるわけではなく、ヒトパピローマウイルス感染が関与される症例が増えているようです。つまり、婦人科における子宮頸がんと同様に性行為感染症の一つとも考えられるわけです。
陰茎がんの発生部位は主に亀頭部、冠状溝、陰茎包皮です。発育様式では、カリフラワー状に外方に発育するものや、湿疹様の発赤から次第に深部に浸潤していくものがあります。
したがって、湿疹だと思って外用薬をつけてもなかなか改善しない場合は泌尿器科専門医の診察を受けることが必要です。なお、進行すると鼠径リンパ節に転移を来し、さらには血行性に転移を来すこともあります。
陰茎がんは病期によって、四つに分類されます。
■1期陰茎がん
亀頭部、包皮、もしくは両者の表層に限局している。
■2期陰茎がん
陰茎体部に浸潤している。
■3期陰茎がん
鼠径リンパ節転移を認めるが、手術可能である。
■4期陰茎がん
陰茎体部を越えて浸潤するか、手術不可能な鼠径リンパ節転移もしくは遠隔転移を認める。