HIV感染症の感染経路の基本は性的接触ですが、血液を介した感染も認められます。また通常の日常生活の範囲では感染が成立することはありません。性交渉による感染成立の頻度は肛門性交による男性間が0.1-3%、膣性交の場合、男性から女性が0.1-0.2%、女性から男性が0.03-0.09%で、またオーラルセックスによる感染は非常に少ないと考えられていますが、可能性は報告されています。
HIV感染症は、通常の日常生活の範囲では感染が成立することはなく、性的接触が重要な感染経路になります。そのためより安全な性的活動に関する自覚·教育が必要です。性的接触に関して予防に有効だと考えられることとしては、正確で持続的なコンドームの使用、性的関係のパートナーを減らす、他の性病·性感染症の迅速な検査·治療などがあげられます。
免疫能破綻が進行するとそれが顕在化し、重篤な日和見感染症が合併し、いわゆるAIDSとなります。症状は合併した日和見感染症の症状が中心となります。AIDS状態では治療しないと2年前後で死に至ります。日和見感染がなければ、抗HIV療法は非常に効果的ですが、重篤な日和見感染を発症している場合には、抗HIV療法を試みても間に合わないことが多くあります。日和見感染症の治療も基本的に抗HIV療法で行われますが、抗HIV療法を開始することにより免疫能が急速に回復することにより感染症が悪化することがあります。