むくみ
体の組織など血管の外によぶんな水分がたまり、腫れぼったくなっている状態が「むくみ」です。水分の摂りすぎや飲酒、食べすぎ、寝不足、寝過ぎなどが原因で起こることもありますし、腎臓や心臓、肝臓の病気や機能低下によって起こることもあります。女性の場合は、月経周期に伴ってむくむ人もいます。一般的に、朝起きたときには顔が、夕方以降には足がむくむ傾向があります。むくんでいるかどうかは、皮膚を指で押すと分かります。むくみがないとすぐに戻りますが、むくみがあるとへこんだままなかなかもとに戻りません。
漢方でむくみに対処する
漢方の場合、独自の考え方からむくみの原因を探り、必要なら治療を行っていきます。 漢方の概念には、「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがあります。「気」は生命エネルギー、「血」は血液とそのはたらき、「水」は血液以外の水分と考えられています。この「水」に異常をきたす「水毒・水滞」になるとむくみが出るというのが漢方の考え方です。 「水」に異常をきたす原因の一つが、「腎(じん)」の機能低下です。「腎」とは五臓六腑のひとつで、西洋医学のように腎臓というひとつの臓器だけを指すのではなく、水分代謝、ホルモンバランス、成長、記憶力などを受け持つところです。
たとえば腎の代表的な働きとして、食べものの吸収や代謝、排出があります。腎は食事で摂った食べものや飲みものを「気・血・水」に変えて、全身に運ぶはたらき(専門用語では「気化作用」と言います)があります。その一方で、「気・血・水」にならなかった成分や、必要の無くなった成分を、汗や尿などの「水」として排泄させるはたらきもしています。
このように、腎がうまく機能していれば、「気・血・水」は正常に保たれるので、私たちは健康で元気でいられますし、機能しなくなれば「気・血・水」に異常をきたし、乾燥やむくみが出る、成長や発育がとまる、精気が失われる、記憶力が低下するといったさまざまな症状が出てきます。とくに排泄がうまく行われないと、水が滞る「水毒・水滞」の症状が強く表れます。
漢方でむくみを改善させる場合、この「腎」によって「水」が滞るという状態を重視して、「利水剤」と呼ばれる漢方薬を処方していきます。漢方の利水剤は、体がどんな状況でも尿を出させてしまう西洋薬の「利尿薬」とは大きく異なり、「よぶんな水分だけを出して、いい水分バランスに調整する」というはたらきをします。
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