中華料理の世界では、宮廷料理の壺蒸し薬膳スープや、豚肉の煮込み料理などで幅広く活躍している食材です。また、韓国料理の参鶏湯(サムゲタン)、あちらに入っている、赤い皮でほんのり甘い実も、実は紅なつめ(大棗)なんです。くせのない味わいの実にはほのかな甘みがあり、シロップ煮やスープなど、さまざまな料理にご活用いただけます。
紅なつめ(大棗)またはその近縁植物の実を乾燥させたもの。作用が激烈な薬物に配合すると、性質をやわらげて消化機能(胃腸)に対する負担が少なくなり、さらに食欲が増し、消化が良くなる効果もあるとされています。
滋養・強壮には大棗酒(たいそうしゅ)が効きます。ホワイトリカー1.8リットルに大棗(たいそう)300グラム、グラニュー糖150グラムを漬けます。大棗(たいそう)は細かく切って、3ヶ月以上冷暗所において布でこしてから、1日30ミリリットルを限度に就寝前に飲用します。
胃痙攣・子宮痙攣などの鎮痛には、紅なつめ(大棗)の配合された甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)があります。これは、神経の興奮をしずめ、不眠、小児の夜泣きにも少量を用います。
紅なつめ(大棗)を煎じる場合は、利尿・咳止め・精神安定・不眠症・健胃・鎮痛などに果実20個程度を水約1リットルで半量に煎じて食前に3回に服用します。
ナツメの種子は、神経衰弱、不眠症、鎮痛、強壮などに30グラムを水0.5リットルで半量まで煎じて就寝前に服用します。また、生の果実をそのまま食べても、湯通ししてから乾燥したものを食べても薬効は同様とされています。
一般に咽喉がん、口腔がん、肺がんの治療に用いられていて、無花果(むかか・イチジク)60グラムと紅なつめ(大棗)2個に水0.5リットルを加えて煎じ、服用します。または、その煎じ液でうがいをするとされます。
※効能一覧
強壮作用
鎮静作用
肝臓保護作用
抗ガン作用
筋収縮力増強作用
抗アレルギー作用
※副作用
特になし
※豆知識
果実を夜露にあて日にさらし干したものを紅棗(こうそう)といい、この紅棗を蒸してさらに干し、皺が生じ黒味を帯びたものを黒棗(こくそう)といいます。黒棗は生薬として扱われ、紅棗は食用として市場に多く出回っています。