「視覚」は私たちにとって重要な情報源であり、目は眠っている時間以外はほとんど休みなく働いています。現代では会社や家庭でパソコンを見ることが増えたこともあり、日々目を酷使している人が多いのではないでしょうか?目の疲れ が原因で、頭痛・肩こり・吐き気の症状を起こすこともあるのです。疲労を放置せず、速やかに解消させることが大切です。今回は疲れ目に効果的な栄養素や薬膳についてご紹介します。
●肩こりに効果的な栄養素
<ビタミンA>
「目のビタミン」と呼ばれる重要な栄養素です。目の粘膜を保護し、網膜を健康に保つ働きがあります。また、涙の量を一定に保つ作用もあります。不足すると夜盲症や、角膜が乾燥して視力低下を招くことがあります。
ビタミンAには2種類あり、1つは動物性食品に含まれ、そのままビタミンAとして働く「レチノール」です。取り過ぎると、頭痛・発疹・疲労感などの症状が出る可能性があるので、サプリメントで補う場合は注意が必要です。もう1つは、緑黄色野菜に多く含まれ、体内で必要な量だけビタミンAに変化する「カロチン」です。
ビタミンAを多く含む食品:人参・小松菜・ほうれん草・かぼちゃ・モロヘイヤ
<ビタミンB1>
視神経のエネルギー代謝を助け、目から脳への神経伝達機能を正常に保つ栄養素です。不足すると伝達機能の働きが悪くなり、疲れ目の症状を引き起こします。
ビタミンB1を多く含む食品:かぼちゃ・アーモンド・ごま・ピーナッツ・抹茶・大豆
<ビタミンB2>
目の細胞の再生や促進、粘膜保護作用のある栄養素です。また、目の充血を防いで疲れを回復させます。不足すると角膜が炎症を起こしやすくなり、目の充血やゴロゴロ感に繋がります。
ビタミンB2を多く含む食品:納豆・アーモンド・ほうれん草
<ビタミンC>
水晶体の透明度を保つのに不可欠な栄養素です。また、コラーゲンの合成に良く働き、血管を強くします。不足すると目の毛細血管が弱くなり、視力の低下を招きます。
ビタミンCを多く含む食品:キウイフルーツ・いちご・ブロッコリー・小松菜・みかん・キャベツ・かぼちゃ・さつまいも
<アントシアニン>
目の網膜にはロドプシンという色素が存在しますが、目が疲れてくるとロドプシンの再合成の働きが鈍くなり、視力が低下します。アントシアニンはロドプシンの再合成を促し、網膜に栄養を運ぶ毛細血管を丈夫にする働きがあります。
アントシアニンを多く含む食品には、ブルーベリー・黒ごま・赤じそ・ぶどう・なす・赤キャベツなどがあります。
<ルテイン>
水晶体や網膜の酸化を防ぐ重要な栄養素です。ドライアイをはじめとする眼病予防や視力の回復に効果があります。
ルテインを多く含む食品:ブルーベリー・カシス
●薬膳で疲れ目対策
薬膳では、疲れ目を大きく3種類に分けて考えます。
<栄養不足タイプ>
肝臓と腎臓に必要な栄養が不足して、潤すことができていない状態です。目に栄養が行き渡らず疲労を起こします。主な症状は、目が乾燥・涙が出にくい、など
栄養不足タイプにおすすめの食材:白ごま・豆乳・白きくらげ・キウイフルーツ・クコの実
<血液不足タイプ>
肝臓で貯蔵している血液が不足し、目まで血液が行き渡らず栄養不足を起こした状態です。主な症状は、瞼の腫れ・めまい、など
血液不足タイプにおすすめの食材:人参・ほうれん草・ナツメ・ぶどう・ブルーベリー
<気が滞っているタイプ>
精神的なストレスで気の流れが滞り、血流が悪い状態です。主な症状は、瞼の周囲が黒い・ため息が多い・目の奥の痛み、など
気が滞っているタイプにおすすめの食材:そば・青梗菜・みかん・レモン・オレンジ・ジャスミン
薬膳では目は「五臓の精華」と呼ばれ、体調の変化が現れやすい器官と位置づけられています。身体の疲労や寝不足が続いた時、目の充血やショボショボと不快になるなど、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?目のトラブルがきっかけで内臓の不調に気付くことも少なくありません。
特に、目は肝臓と深い関係がある器官でもあります。肝臓の機能が十分に働き血液を蓄えることで、目に栄養が行き渡りクリアな視覚が得られるのです。
「たかが目の疲れ」と放っておかず、健康のバロメーターとして日頃から気をつけることで、病気や不調を未然に防ぐことができます。ぜひみなさんにも、目を大切にする食生活を心がけていただきたいと思います。 |